少年と化け物
「ねぇ、放課後行ってみようよ。噂の幽霊屋敷」

目を輝かせながらそう言ったのは友人の美奈だ。
噂の幽霊屋敷。
最近クラスで話題の都市伝説のことである。
それは、森の中にある古い屋敷には人を食べる化け物が出る、化け物は鎌を持って追いかけて来る、さらには空を飛んで魔法を使うなんていう馬鹿げた話だった。

「やめなよ、美奈本当は怖がりのくせにさ。それにあそこの家、人住んでるかもしれないって話じゃん」

弓子が言った言葉が図星だったのか、言葉を詰まらせる。

「怖いけどさ、面白そうだよ」

「人住んでるならダメだよ、迷惑でしょ」

「住んでるって言うのも噂だもん。ね、一生のお願い! どうしても見たいの!着いてきて!……だめ? 」

美奈は上目遣いで今月3回目の一生のお願いをする。

「恐怖心より好奇心か……」

なんだかんだで押しに弱い弓子は、小さいため息の後、今回で最後だからねと返事をした。
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