少年と化け物
「良くないものなんかじゃない……!!智樹くんは僕のたった1人の友達だ! 馬鹿にするなら母さんでも許さないよ!」
すぐに、ごめんなさい、と母親は謝罪したが少年の耳には届いていないようだった。
「外に出られないだって!? なんで母さんが決めるんだ!僕には智樹くんがいるんだ!2人でなら外に出たって生きていける」
そう叫ぶと少年は玄関に向かって走り出した。
母親は青ざめたまま放心し、彼を追いかけることはしなかった。
たかが10歳やそこらの子供に何ができると言うのか。
きっとすぐに家に戻ってくると思いながらも、心のどこかで、どうか帰ってきませんように、と願ってしまった。