少年と化け物

「この住処、結構気に入ってるんだ。教えてくれた智樹くんのおかげだよ」

少年は、寝起きに水を飲みながら“智樹くん”に話しかけた。

「ここなら人もそうそう来ないし、食べ物もある。でも、最近ずっと肉を食べてないなぁ」

「そうだよね、智樹くんもお肉食べたいよね。野菜ばかりじゃ体が緑になってしまうよ……」

「それから、近くをうろつく人が増えた気がするよ」

少し不安げに少年は言った。

「どうすればいいかな?僕がここにいることがバレてしまう。バレたらきっと智樹くんとはさよならだ」

少しの沈黙の後また喋り出す。
あたりは静寂に包まれれていたが、少年には“智樹くん”の声が聞こえるのだろう。

「そっか。そうだよね、それしか方法はないよね」

悩んだ表情を見せながら、そう返事をすると、着替えを済ませ少年は出かけて行った。

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