哀 夏 に 、
残る
どれだけ、傷つけてきたのだろうか。
「さすがにもう、耐えられないや」
へたくそな笑い方だった。ちっとも笑えないのに、笑っていた。
そうさせたのは、紛れもなく俺だった。
時が止まったように、頭を鈍器で殴られたように、何も考えられなかった。
別ようかな、そう考えてたのはいつからだろう。
友達といる時間を優先させるようになった。
嫌いになったわけじゃなかったんだ、倦怠期のような気持ちが、ずっとこころのなかにあった。
そう思えば思うほど、触れていいのかわからなかった。
横で眠っているその姿から背を向けていた。
手のひらを重ねることも、想いを通わせるキスも、なくなっていた。
終わり。その言葉から逃げるように距離をとっていた。
友達からの誘いの電話にすぐに飛びつくようになった。
そのときどんな表情をして俺を見ているかなんて、考えてもいなかった。
「たえ、れない」