✽新✽魔王様と暁の姫〜月は夜明けの花を永久に想う〜
雨は今だ止まない。

民家や店が立ち並ぶ中央区を離れ、そこからさらに奥へ進むと、天まで届きそうな長い階段が見えてきた。どうやらこの向こうに城があるらしい。


こんな雨の中でも少女の足取りは軽い。


自分はと言えば数段で、もう顔を歪めている。情けないーーそう思ったときだった。


「きっとまだこの世界に慣れてないの。大丈夫、もう少しだよ」

「……ああ」



頑張らなければ。少女の言葉に強くそう思い、頂上を目指す。心配させたくない、これ以上は。



ーーまただ。こんな想いにさせられるのは、これで何度目だ?


少年は何度目かわからない問いかけを自分にし、残りの力を振り絞った。

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