✽新✽魔王様と暁の姫〜月は夜明けの花を永久に想う〜
目に飛び込んできたのは、いたってシンプルな装飾の部屋だった。長いテーブルの上には籠いっぱいに詰められた焼きたてのパン、イチゴジャム、バター、新鮮なフルーツサラダに、ベーコンエッグが並んでいる。


そして視線の先にいる赤茶の少年はすでに食事をし終えた後のようで、目の前には山積みの皿がある。今は食後のお茶を淹れてもらっている。


「お前は待てないのか」

「チッチッ。ルシュラくんはわかってないなーリンゴが俺を呼ぶんだよ」

「クオイはほっといて、僕たちは朝食をとろう」

「はーい」


ルシュラはさらりと受け流し、さっさと二人は席についてしまう。リシュティアの隣にユーリも座ったのを合図に、食事が始まった。

< 17 / 22 >

この作品をシェア

pagetop