✽新✽魔王様と暁の姫〜月は夜明けの花を永久に想う〜
ユーリが口を開きかけた、丁度その時だった。
使用人がノックもせず慌ただしく入ってきたのは。確か新人の使用人として入った……ルシュラが思い出すより先にーーそばかすの女が困り果てた表情を浮かべて。


「ルシュラ様、たった今ロキ様がいらっしゃいました!でもどうしましょう……?!」


ルシュラには何がなんだかさっぱりわからないが、とりあえず使用人の女を落ち着かせるように優しく語りかける。


「急いで知らせに来てくれてありがとう。ゆっくりでいいから、もう一度説明を頼めるかな?」

「あ……はい。先ほどロキ様が到着なされて、案内しようとしたんです。そしたら、桔梗さんと勝手に図書館へ行ってしまわれたんです……すみませんルシュラ様」


あの神はもとより自由奔放故で、誰の手にも負えるものではない。そして、その弟子も然り。


僕はもう慣れたものだか。ルシュラは思わず内心苦笑する。 


「ありがとうマニラ。下がっていいよ」

「は、はい」


ペコリとお辞儀をし、部屋を出ていく。


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