✽新✽魔王様と暁の姫〜月は夜明けの花を永久に想う〜
✽1想✽雨空の出会い
氷雨の降り注ぐ世界の片隅で、少年は独り空を仰ぐ。
別に理由なんてない。気がつけば、空を見上げていた――ただ、それだけのことに過ぎない。
でもなぜだろう。こんなにも酷く心が痛むのは。
誰も少年には目もくれない。まるで始めからそこには、何も存在してないように。
そんな少年の前に、淡い香りを纏った少女が現れた。遠く、切ない、懐かしいーーそんな気持ちにさせられる。そう思う理由は、やはりわからないが。
漆黒の長い髪に、ローズクオーツのドレス。物語に出てくるお姫様のような少女が、花が咲いたような笑顔を浮かべて。
「探したよ“魔王様”」
別に理由なんてない。気がつけば、空を見上げていた――ただ、それだけのことに過ぎない。
でもなぜだろう。こんなにも酷く心が痛むのは。
誰も少年には目もくれない。まるで始めからそこには、何も存在してないように。
そんな少年の前に、淡い香りを纏った少女が現れた。遠く、切ない、懐かしいーーそんな気持ちにさせられる。そう思う理由は、やはりわからないが。
漆黒の長い髪に、ローズクオーツのドレス。物語に出てくるお姫様のような少女が、花が咲いたような笑顔を浮かべて。
「探したよ“魔王様”」