お ま じ な い



「最悪、髪の毛ギッシギシ。サクノはいいなぁ、補講免除で」


湿度が高く、蒸された更衣室にセツナの声が反響する。


クロールのタイムトライアルの日に生理で休んでしまったセツナとサクノは、通常補講に加えて、プールの補講にも参加しなければならなかった。


サクノは4日前の左腕の傷があったために、補講の補助という形で免除されたのだ。


「でも私、絶対成績低くなる。テスト頑張って取らなきゃ」


「いつも8割は固いくせに」


「いかないときもあるよ」


「じゃあ5月の定期テスト何点だった?」


「……あの先生、いつも資料集の巻末付録から出すの、みんな知らないだけだよ」


「またまた」


制服のスカートのチャックを引き上げながら、セツナはシニカルに笑う。


更衣室にはサクノとセツナしかおらず、サクノは既に体操服から制服に着替え、セツナが着替え終わるのを待っていた。


締め切られた部屋は、じっとしているだけでも汗が吹き出し、サクノは白いカッターシャツの前を摘んで、パタパタと空気を送る。
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