お ま じ な い
《ねぇ、セツナ》


サクノの声がセツナを呼ぶ。


《『人を呪わば穴二つ』って知ってる?》


セツナはかぶりを振った。


サクノはそう、と口だけを動かして笑みを作った。


《呪いはね、かけた本人に帰ってくるんだよ》


その瞬間、セツナは体を硬直させた。


「う、動かない……」


セツナが体を動かそうとしても、かけらも動かないのだ。


まるで自分の体が自分のものではなくなった感覚に陥り、セツナはガクガクと唇を震わせた。


《セツナも呪いが諸刃の剣だって知ってたらよかったね》


サクノが立ち上がり、セツナはそれを震えながら見上げた。


そのはずだった。
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