お ま じ な い
「……これくらいでいっか」


最後に手のひらで土を慣らしたサクノは、そう呟くとぱんぱんと両手の土を払った。


作業をしていた時間は、だいたい10分ぐらいだっただろうか。


日陰とはいえ、真夏の外は堪える。


ちょうど喉の乾きも覚え始め、サクノは汚れた手のひらが触れないように鞄の持ち手を掬い上げた。


セツナには何も言われなかったが、一応埋めた場所とお社とにそれぞれ礼をして、サクノは帰路に足を踏み出した。


「叶うといいなぁ」


サクノのささやかな願いは、その小さな唇から零れ落ちた。


サクノが埋めた人形は土の中で静かに眠っている。


その傍では、おびただしい数の蟻が群れを為して蝉を喰らっていた。
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