眩むような夜に、
夜なんて一生来なければよかったし、だからといって朝を待ち望んだりはしない。朝が来たら、希望さえも持てなくなってしまう。夢から、覚めてしまう。
そんなの、耐えられない。もしもとなりにまだあいつがいれば、今の私は違ったのかもしれないけれど。
「……。考えても無駄かぁ」
幸せだった日々が、もう随分昔のことのように感じる。色褪せた思い出が次々とよみがえる。それと同時に、苦しさも思い出す。
毎日送り合っていたメッセージは、既読がつかない私のものを最後に、あいつからの返信はしばらく前に止まっている。週に何回かしていた通話は、だんだんと回数が減っていって、とうとう今はゼロだ。いっそ清々しいくらいに音信不通で笑っちゃう。
あいつと一緒にいて、私は満たされていた。だから、そのあいつが私に目もくれなくなった今、私に残ったのは空虚だけだった。私って、なんてつまらない人間だったんだろ。自棄にも似た感情が、心の底から湧き上がってくる。
そうやって、ささくれた心を嘲笑っていると。不意に、目の前に影が落ちて。
「──今、ひま?」
やけに甘さを含んだ声が、頭の上から降ってきた。