眩むような夜に、
「そんなに警戒しないで」
彼は、私の心中を察したようで、ふわりと微笑んだ。そんなものに騙されるもんか。私は、未だに赤みが残っているであろう目で、きつく睨んだ。
人のいない公園、薄暗い夜。なぜか事情を知っている、ひとりの知らない男。
警戒するなと言われても、無理に決まっている。それでも、真っ先に逃げ出さなかったのは、もうそんな気力がなくなってしまったからか。それとも、……きっと、あいつへの無意味な当てつけだ。
君が捨てた私は、君が来ないせいで傷物になっちゃったよ。なんて、冗談でも笑えないけれど。そう言ってやったら、あいつの顔、少しは歪むかな。……そんなことしても、私の心はちっとも晴れないんだろうな。