眩むような夜に、

「で?そのクラスメートさんは、どうしてここにいるの」


目的がわからない以上、私は彼に対してどんな態度をとっていいのかわからない。どうして、彼はここに現れたのか。あいつから待ち合わせのことを聞いたのか、それとも彼は私を知っていて、偶然見つけたから声をかけたのか。


私を、嗤いに来たのか。なんて、自意識過剰かな……。


けれど、彼の口から飛び出したのは、そのどちらでもない答えだった。


「あいつが席はずしてるときに、ちょこーっとスマホを拝借してさ。それで、君がこの時間にここに来るって知ったから」


私は目を見開いた。彼の口ぶりでは、それが合意ではない行為のように聞こえたから。どうして彼はわざわざそんなことを。


物騒な。私は、ごくりとつばを飲み込んだ。


「……知ったから?」


「だから、ナンパしようと思って」


肝心な彼の真意は何もわからず、わざとなんじゃないかと疑うくらい進まない話にいらっとした。私、もしかしておちょくられてる?
< 7 / 15 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop