眩むような夜に、

それは、疑問ではなく、確信だった。何か苦いものが、のどに詰まったような感覚がある。


「……それは、今日のことを言ってる?」


私が、待ち合わせをすっぽかされたことを言っているのだろうか。


思ったよりも低い声が出たことに、自分でも驚いた。だって、さっき出会ったばっかりの人に、そんなこと決めつけられたくない。


本当は、とっくに自分でもわかっているけれど。改めて誰かから突きつけられたら、耐えられる自信がないのに。


「もっと前からでしょ」


馬鹿にしたような声のくせに、泣き出しそうな目をしてそんなことを言うから、私は何も言えなくなって、押し黙る。
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