カラダで結ばれた契約夫婦~敏腕社長の新妻は今夜も愛に溺れる~
ふと窓のほうを見れば、ソファに先ほどまで着ていた濃紺のドレスと、身体をぎゅうぎゅうに締め付けていたコルセットが置かれている。

と、そこで重大な事実に気がつき、自身の身体を確かめるように撫でた。

お腹に触れ、胸に触れ、そして蒼白になる。

何も着ていない――ショーツだけはかろうじて穿いていたものの、他には何も。

一体誰がドレスを脱がせたのか。慌てて毛布を深く被り、目だけを出してキョロキョロと周囲をうかがった。

「ここは……」

どうやらホテルの一室のようだ。広さと煌びやかな調度品から察するに、とびきり上等な部屋だろう。

カーテンは閉まっていて、外からは一切光が入ってこない。部屋の各所にぽつぽつと置かれたルームランプの灯りが、清良の視界を照らす光源になっている。

どうやら外は暗いらしい。今、何時なのだろう?

もっとよく周囲を探ろうと上半身を起き上がらせたところで――。

「目が覚めたか?」

少し距離のあるところから響いてきた柔らかなバリトンボイスに、慌てて胸の前で毛布を抱きしめた。

どうやら隣の部屋に誰かいたらしい。入口から姿を見せたのは、とびきりの美丈夫。

倒れる前に出会った紳士のようだ。

今はジャケット、ネクタイは身に着けておらず、シャツとベスト、スラックスという気崩した格好をしている。

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