カラダで結ばれた契約夫婦~敏腕社長の新妻は今夜も愛に溺れる~
「……仕方がない。前回もそうやってまともに会話する機会を逃したからな。メインディッシュは夫婦の食卓を終えてからにしよう」

総司の身体がパッと離れる。

安堵する清良。気がつけばじんわりと背中が汗ばんでいる。

このリビング、少し空調が暑くないだろうか。だが、総司が涼しげな顔をしているところを見ると、熱っぽいのは清良だけのようだ。

総司はキッチンへ戻り、夕食の準備を始める。

清良は「着替えてきます!」と勢いよくリビングを飛び出すと、階段を駆け上がり自室に逃げ込んだ。

ドアを締めてひとりきりになったところでやっと気が抜けて、はぁぁ、と深いため息を漏らす。

やはり総司が近くにいるとドキドキする。いつになったら慣れるのだろう。まさか一生このままだったりするのだろうか。

(夫婦って、こんなに緊張するもの……?)

いつか気兼ねない関係になれるのだろうか。というか、そもそも総司はそんな関係を望んでいるのか。

所詮は契約結婚。彼が欲しかったのは平穏に仕事ができる環境であって、パートナー自身ではない。

(でも、時間を見つけて帰ってきてくれたのね……)

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