カラダで結ばれた契約夫婦~敏腕社長の新妻は今夜も愛に溺れる~
「ついでに観光するのもいいかもしれないな。確かに、一度も旅行に行ったことのない夫婦というのは違和感がある」

そういえば、結婚式や新婚旅行もすべて保留になっている。

清良はなくてもいいと思っているし、総司は一応考えてくれてはいるようだが、現在スケジューリングされている仕事を優先したいと言っていた。

「本場の北京ダックを食べに行くなら香港あたりがいいかもしれないな。この北京ダックは皮が薄く広東風に仕上げられているから、北京料理とは少し違うんだ。香港から少し足を延ばせばマカオにも行ける」

マカオ、と聞いて清良はスープをむせそうになった。

マカオと言えばカジノ――北村から見せられたカジノで五十億という記事を思い出す。

「……マカオには、よく行かれるんですか?」

「以前、仕事で頻繁に行っていた時期はあったな。最近は事業も軌道に乗って安定しているから行ってないが」

「そう……ですか……」

ドキドキドキと胸が騒ぐ。頻繁に行っていただなんて。途端に記事に信憑性が湧いてきた。

「ちなみに賭け事はお好きですか?」

「賭け事? ……ああ、カジノのことか? 清良はカジノに興味があるのか?」

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