カラダで結ばれた契約夫婦~敏腕社長の新妻は今夜も愛に溺れる~
「どうしてそこまで、してくれるんですか?」

清良が首を傾げると、総司は申し訳なさそうに目を伏せた。

「この家の掃除も、すべてひとりでやっているんだろう? 真鍋から聞いた」

そういえば以前、真鍋から信頼出来るハウスキーパーが見つかったと連絡があった。

だが、清良は断ってしまった。料理や洗濯なんてたいした手間じゃないし、誰かに頼むほどのことでもない。

あえて言うならば家が広すぎて掃除がちょっぴり大変だが、毎日少しずつやればなんとかなるだろう。

「家事くらい私がやりますよ」

「そんなに頑張らなくていい。もっとワガママを言いなさい。君は俺の命令を聞くだけのシンデレラではないのだから」

総司からは働き者のシンデレラに見えているのだろうか。イメージ的には、鞠花の傍にいたときのほうがよっぽどシンデレラに近かった気がするけれど。

「私は今の生活を楽しんでいますよ」

「その楽しい中に、もう少し俺を加えてくれると嬉しい」

彼の言葉に思わず「え……」と驚きを漏らす。

いいのだろうか。清良の人生に総司を巻き込んでも。

籍の貸し借りを行うだけ、他は一切関知しない、そんな約束じゃなかっただろうか。

「いいんですか……? 契約違反にならない?」

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