カラダで結ばれた契約夫婦~敏腕社長の新妻は今夜も愛に溺れる~
「清良は契約という言葉にかまえすぎていないか? 要は俺たちの出会い方の問題だろう。お互いの条件を提示して籍を入れるというのなら、見合いやマッチングサービスだって同じじゃないか」

へ?と表紙抜けする。

確かにお見合いやマッチングサービスは、初対面の男女がお互いの身分や経済状況、生活スタイルなどを提示して合意できれば結婚するのだから、ある種、清良と総司の関係に似てはいるのだが……。

「でも……愛はダメ……なんですよね?」

清良の念押しに、総司の目がわずかに険しくなる。

そこだけは譲りたくないらしく、真剣な顔のまま清良を見つめ返した。

「寂しいと言われたら困るし、仕事と愛情を天秤にかけるような女は好きじゃない。そもそも俺は、愛なんてものは信じていない」

「……わかっています」

お見合いやマッチングサービスとは決定的に違うことがある。

たとえ愛のない出会い方だったとしても、次第に愛着が湧いてきて、やがて本物の愛が生まれる。夫婦とは、愛情の上で成り立つものだと清良は思っている。

その前提条件が成り立たない総司の言う『夫婦』とは、やはりどこかおかしい気がする。

(総司さんの考えが、よくわからない……)

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