カラダで結ばれた契約夫婦~敏腕社長の新妻は今夜も愛に溺れる~
親しくなりたいのか、あるいは距離を取りたいのか。

優しくしてくれるのはなぜなのか。

困惑する清良に、総司は「だが、どうしてだろうな」とぽつりとこぼす。

「君といると、よくわからなくなることがある。自分の求める妻というものが、なんなのか……」

見上げれば、困惑に揺れる瞳。

いつだって確固たる自分を持って、清良を強引に引っ張り回してきた彼が、初めて戸惑うような顔をしている。

(総司さん自身も、よくわかっていないの……?)

妻を思いやりながらも愛情を遠ざけようとする矛盾に満ちた行動は、総司自身がどうすべきかよく理解できていないからだろうか。

彼の中にも正解はないのかもしれない、理想とする夫婦のかたちについて。

「私にもよくわかりません……」

しゅんと肩を落とした清良に、総司が慌てて弁解する。

「混乱させてすまない。いや、混乱しているのは俺か。清良を大切にしたい気持ちはあるんだ」

「……わかっています」

こまめに帰ってきてくれようとしたり、贈り物をくれたり。大切に思われていることは伝わってくる。

もちろん、仕事に差し障りのない範囲で、という条件つきだけれど。

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