カラダで結ばれた契約夫婦~敏腕社長の新妻は今夜も愛に溺れる~
それにしても、ずいぶんと若そうな男性で驚いた。総司からは「父の代からお世話になっている」と聞いていたし、電話の声もかなり落ち着いていたから、四、五十代の男性を想像していたのだけれど。

目の前にいる彼は総司と同じくらいの歳に見える。

「では……お願いしても、大丈夫ですか……?」

恐る恐る確認してみると。

「もちろん」

たぶん、大半の女性は惚けてしまうであろう麗しい笑顔で真鍋は頷く。

しかし残念なことに、総司というとびきりの美丈夫を間近で見たばかりの清良にとっては、我を忘れるほどの笑顔ではなかった。

「どうぞ、お上がりください」

清良は真鍋を案内するべく、玄関の扉を開ける。

頬を赤らめもしない清良を見て、真鍋はこっそりと嘆息する。

もしもこの場に総司がいたならば、真鍋の悪戯な企みにも気づくことができたのだろうけれど。

当の総司は、まだベッドの中でスヤスヤと寝息を立てていた。



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