カラダで結ばれた契約夫婦~敏腕社長の新妻は今夜も愛に溺れる~
キッチンに目をやると、軽く仰け反っておろおろとしている清良と、その指を持ち上げて色目を使うかのごとくじっと彼女を見つめる真鍋の姿が目に入った。

しかも真鍋は眼鏡まで外している。それは女性を口説くときに使う最終兵器だろう。

「おい。真鍋。誰の許しがあってここにいる」

ピタ、と動きを止めるふたり。清良はポカンと、真鍋は平然としながらも心の中で「チッ」と舌打ちしたのが総司にはわかった。

「もちろん、清良奥様のお許しをいただいて」

途端に「清良さん」から「清良奥様」と呼び方を変えたことにも苛立ちを感じながら、ギンと睨みを効かせる。

真鍋の女癖の悪さを知っているし、普段は誰を口説こうと気にも止めないのだが、清良に対して男の顔を使うあざとさには腹が立った。

不倫をするほど無謀な男ではないだろうから、女を見ると遊び心がくすぐられてしまうただのアホなのだろうが。

彼女で遊んで許されるのは俺だけだ、そんな妙な独占欲が湧き上がる。

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