カラダで結ばれた契約夫婦~敏腕社長の新妻は今夜も愛に溺れる~
やがて、秘書に連れられてやってきた鞠花は、オフィスにしては露出度の高い真っ白なオフショルダーのトップスとレーススカートを履いていた。

TPOに配慮できない人間はあまり好むところではない。が、仲良くなるつもりもないので気にするだけ無駄だろう。

「お久しぶりです、鞠花さん。先日は妻がお世話になりました」

ひとまず好意的なフリをして、総司は部屋の入口まで鞠花を迎えに行く。

「お久しぶりです城ケ崎様。またお会いできて光栄です」

綺麗に会釈した彼女を、総司は部屋の中央にある革張りのソファへとエスコートした。

すかさず別の秘書がお茶を持ってくる。総司がテーブルを挟んで向かいに座ると、それぞれの正面に緑茶の器を置いた。

秘書が部屋を出ていくまで鞠花は沈黙していた。べったりとした、絡みつくような眼差しを総司に向けながら。

何かよからぬことを企んでいるのだろうと、すぐに察しがついた。

こういう目をする人間は、こちらの利益になるようなことをまず提案してこない。

「ゆっくりとお話ししたいところですが、あまり時間がありません。早速ですが、本日はどういったご用件で」

『さっさと用件を言え』をオブラートに包んで切り出すと、鞠花は不穏な笑みを浮かべながらクラッチバッグを開けた。

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