カラダで結ばれた契約夫婦~敏腕社長の新妻は今夜も愛に溺れる~
そちらのほうが清良にとっては余程嬉しいし、そんなさりげない優しさにますます想いが募ってしまうのだった。

この日々のメッセージを、彼はどんな想いで送ってくれているのだろう。

義務、だろうか? 面倒だなんて思っていない? 

嬉しいと同時に彼の迷惑になっていないか心配でもある。

この不安定な症状に思い当たる病がひとつだけあって。

(私……彼に恋しそうになっているのかもしれない)

普通に考えればごく自然なこと――あんなにも見目麗しく紳士的な男性が、自分を見初め、妻という役割を与えてくれて、毎日のようにお土産やらメッセージやらをくれる。

相手がよほど非人道的な人物でもない限り、大抵の女性は恋に落ちるのではないだろうか。

一日一日と過ぎるごとに、この感情は当たり前、仕方がない、そんな開き直りのような気持ちが湧き上がってきて。

(好きとか、寂しいとか、会いたいとか、本人に言わなければいいのよね)

気持ちは自由だ、総司に縛れるものではない。胸の内でこっそり想い慕う分には、契約違反にならないはず。

何かの拍子に誤って口に出してしまわないように、最大限気をつける必要はあるけれど。

< 150 / 262 >

この作品をシェア

pagetop