カラダで結ばれた契約夫婦~敏腕社長の新妻は今夜も愛に溺れる~
「清良奥様は、総司さんにとても遠慮をなさっていますね。ですが、それは総司さんも同じでしょう。すごく不器用に、恐る恐る、大切にしようとしている」

「そう……なんですか?」

土産の量を見れば大切にされていることはわかる。

けれど、不器用とか、恐る恐るとか、真鍋の表現がいまいちピンとこなくて、清良は首を傾げる。

「奥様の好意なら、総司さんはすべて受け止めてくださるはずですよ」

柔らかな笑みと一方的なアドバイスを言い置いて、真鍋は玄関を出ていく。

ひとりその場に残された清良は、ポカンとしたまま去り行く彼のうしろ姿を見つめていた。

結局真鍋が何を言いたかったのか、さっぱり理解できなかった。

(私の好意を、総司さんは受け止めてくれる……?)

だが、こちらの好意に気づいたときの総司の困った顔は、すでに一度見たことがあるからもうごめんだ。

総司はきっと優しいのだろう。だから受け止めきれないほどの愛を見せつけられると困ってしまう。

(あまり頑張っていないように見せなくちゃ。夕飯は……ちょっぴり地味な和食でも作って……)

メニューを悶々と考えながら階段を上り、自室の前に積み上がったボックスに手をかける。

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