カラダで結ばれた契約夫婦~敏腕社長の新妻は今夜も愛に溺れる~
しばらくすると、またしても玄関のチャイムが鳴った。

今度は誰だろう……さすがにもう真鍋ではないだろうし、他に心当たりもない。

ドアフォンのモニターに近寄り通話ボタンに手をかけ――その手が止まった。

パーマがかった茶髪に濃紺のシャツとジーンズ。見覚えのある姿にまさかと背筋が冷える。

(北村くん……!?)

どうしてこの家の場所を知っているのだろう。以前会ったときに敵意を向けられたことを思い出し怖くなった。

あの時は人混みに紛れて逃げられたけれど、家の中には逃げ場がない。

居留守を使おうと無視を続けたが、チャイムを何度も慣らされいっそう恐怖が募る。

放っておくこともできず、モニターからじっと様子をうかがっていると、北村は鉄門をガチャガチャと揺らし始めた。

まさか力ずくで侵入しようとしている……?

揺すったからといって開くような門ではないが、その気になれば、塀を乗り越えるくらいできるかもしれない。

一瞬警察を呼ぼうかと悩んだが、大騒ぎをすれば総司の迷惑になってしまうかもしれない。

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