カラダで結ばれた契約夫婦～敏腕社長の新妻は今夜も愛に溺れる～

「どう対処されますか？」

「……根本を断たねばいたちごっこになるだろう」

総司は短く息をつき、鋭い眼差しを虚空に向ける。

「あのお嬢様には、しっかりとした躾が必要だな……」

言い知れぬ圧力に、真鍋は身震いした。

こうなってしまったが最後、彼の決断は止められない。……まぁ、こうなるとわかっていて、どう対処するかと尋ねたのだが。

「直接、院瀬見議員とお話をされますか？」

「その前に写真のあの男だ」

総司が目線だけをテーブルの上にある調査資料へ向け指示する。その意外な切り口に真鍋は眉をひそめた。

「……彼と？　まともな交渉になるとも思えませんが」

「とにかく呼び出せ。『気が変わった。警察に被害届を出す』と言えば飛んでくるだろう」

真鍋は「わかりました」と簡潔に答え、腕時計を見て時差を確認すると、早速資料にある番号に電話をかけ始めた。

下っ端と交渉したところで利益があるとも思えないが、彼のことだ、考えがあるのだろう。

「――北村様の携帯電話でよろしいでしょうか。私、城ケ崎総司の秘書を務めております真鍋と申します――」

与えられた仕事はさっさと済ませるに限る。

総司から指示された言葉をそのまま受話口で繰り返し、男のうろたえるリアクションを確認すると、日時を指定して通話を終わらせた。