カラダで結ばれた契約夫婦~敏腕社長の新妻は今夜も愛に溺れる~
今日は総司のリクエストで、ダイニングテーブルではなくソファのあるローテーブルに食事を運んだ。シャンパンを飲みながらのんびりディナーを楽しみたいそうだ。

「せっかく清良の作ったご馳走が並んでいるんだから、ただの食事で終わらせてはもったいないだろう」

ワイングラスを軽く掲げ、ふたりは乾杯する。

総司が買ってきてくれたシャンパンは、果実の味がふんわりと軽やかで飲みやすい。清良の舌に合わせて選んでくれたのかもしれない。

「……ところで総司さん、仕事のことなんですけど……」

なるべく軽い口調で清良は切り出す。

「……今の会社で、もう少し続けてみようかと思ってるんです。同僚にも、居てもらえるとありがたいって言ってもらえたし……」

総司の顔色をうかがいながら説明すると、やはり今度もたいして驚いた様子はなく「そうか」と短い返事をくれた。

「……あの、もしかして、総司さん……」

「なんだ?」

何か取り計らってくれました?と尋ねようとしてやめる。

清良がどんな状況にあったのか、本当に知らないかもしれないし、知っていたとしてわざわざ口に出さなくてもいいと考えているようだから。

「……ご心配をおかけしてすみませんでした。それから、ありがとうございます」

ペコリと頭を下げて感謝する清良に、総司は「俺は何もしていないが?」と惚けた顔で微笑んだ。

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