カラダで結ばれた契約夫婦~敏腕社長の新妻は今夜も愛に溺れる~
「これからの鞠花の身の振り方について、実は城ケ崎さんと相談したんだ」

鞠花は呆然としたまま、父親の顔を見上げた。

その深刻な表情から、決してよいことではないと悟ったのだろう、顔を不安げに歪ませる。

「鞠花は、あまり楽しい学生時代を過ごせなかっただろう? 学友たちのレベルが低すぎて友達になれないと、文句を言っていたじゃないか。鞠花の個性が日本国内の教育には収まらなかったのだと、私は反省している」

今さら学生時代のことを持ち出すなんて、どういう風の吹き回しだ。言い知れぬ不安に駆られ、鞠花は掠れた声を絞り出す。

「何を……言っているの?」

「実は、イギリスに礼節を学ぶためのフィニッシングスクールがあってね。花嫁修業なんかに使われる学校だそうなんだが、城ケ崎さんが紹介してくださることになったんだ」

「イギ……リス……ですって……!?」

思いもよらない話に、鞠花が目を剥く。総司が議員の話を補足するように続けた。

「各国の財閥や資産家など、俗にいうセレブたちが通うマナースクールだ。君もせっかくいいお家柄に生まれたのだから、もう少し礼儀作法を学んだほうがいい。グローバルな視野を手に入れることもできるし、君にぴったりな学友も見つかるかもしれない」

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