カラダで結ばれた契約夫婦~敏腕社長の新妻は今夜も愛に溺れる~
会場を出たふたりは、エレベーターに乗り込み一階へ向かう。

「もう帰っても大丈夫なんですか?」

「ああ。主役のいないパーティーに用はない。いずれにせよ、ここに来た目的はあのワガママお嬢様に引導を渡すためだったからな。清良が来ていたのは意外だったが」

「私も来るはずではなかったんですが……」

困り顔でため息をつくと、総司に失笑されてしまった。

「今度は何を脅された? そろそろ両親に手を出すとでも言われたか?」

「どうしてわかるんですか!?」

「結局清良の弱点はそこだからな。まぁ、それも今回限りだろう。あのお嬢様は当分の間イギリス留学する段取りになっている」

エントランスでしばらく待っていると、真鍋が車を正面玄関に回してくれた。ふたり後部座席に乗り込み自宅へ向かう。

「留学って……マナースクールを斡旋したというお話ですか?」

清良の質問に、真鍋がバックミラー越しに答えてくれる。

「本場の貴族のマナーを教えてくれる由緒正しいスクールです。本来であれば入学できるだけで光栄な話ですから、斡旋した総司さんに感謝してほしいところですが……」

客観的に見ればたいそう光栄な話らしいが、鞠花からすれば完全に島流しだ。

総司自身も親切心というよりは罰を与えたかっただけのようだ。

< 244 / 262 >

この作品をシェア

pagetop