カラダで結ばれた契約夫婦~敏腕社長の新妻は今夜も愛に溺れる~
「あの様子だと入学もとんずらされるかもしれないな。あまり紹介した俺の顔に泥を塗られたくはないんだが」

「さすがにそれは院瀬見議員が許さないでしょう。これまで娘を甘やかしてきたことに深く反省していたようですから」

もしそうなれば外交問題に発展します、と怖いことを言い切って真鍋がハンドルを切る。

「少しはしごかれてお嬢様らしく落ち着いてくれるといいんだが」

しごかれてほしいとまでは言わないが、悔いの残る学生時代を過ごした鞠花が、これを機にやり直せたらと清良は思う。

どうか彼女がちゃんとスクールに通ってくれますようにと祈った。

「もしもイギリスで真面目に勉強して、私以外の友人ができたら……」

心の底から信頼できる友人ができれば、彼女のワガママな性格も変わるかもしれない。

「そうすれば、清良に執着することもなくなるだろう。要するに、あのお嬢様は寂しがり屋なんだ」

「ええ……」

そう気づくまでに清良はずいぶんかかってしまったけれど、総司はすでに見抜いていたみたいだ。

イギリス留学が彼女にとっていい転機になりますように、そう願うことしかできない。

< 245 / 262 >

この作品をシェア

pagetop