カラダで結ばれた契約夫婦~敏腕社長の新妻は今夜も愛に溺れる~
彼の漆黒の瞳が清良の心を暴こうと覗き込んでくる。

まるで黒瑪瑙(オニキス)のように気高く深い色。抗うことを許してはもらえない高潔な輝きに、肌がぞくりと粟立った。

「……いいだろう。君に責任を取ってもらう。条件を提示しよう」

男性は清良から手を離し、その身をわずかに遠ざけた。

金縛りから解放された清良は、ざざっと身体をうしろに倒す。その様子を見ていた男性は、喉の奥でくつくつと笑った。

「ひとつ仕事を頼みたい。我慢強い君にぴったりな、根気のいる仕事だ。その対価として、君を悪辣なご主人様から救ってあげよう」

清良はキョトンと目を見開く。仕事とは? 救うとは? 疑問ばかりが頭を巡り、漠然とした不安感が募る。

その仕事とやらをうまくこなすことができれば、この件を見逃してくれるのだろうか。

「何をすればいいんですか……?」

「ただ、俺の帰りを待ってくれていればいい。その間、なにをしてもらってもかまわない」

「留守番のようなものですか……」

「留守番、か。そう、そんなようなものだ。もう少しわかりやすく言えば――」

パチパチと目を瞬いている清良に、男は距離を詰め不敵な笑みを浮かべる。

「妻という仕事だ」

「……え?」

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