カラダで結ばれた契約夫婦~敏腕社長の新妻は今夜も愛に溺れる~
「この歳で未婚だと、どこの国へ行って誰と仕事をしても『女性を紹介する』と言われ面倒な接待がひとつ増える。そのうち、強引な政略結婚でも持ちかけられるかもしれない。だからその前に、お飾りでいい、『妻がいる』という事実だけが欲しい」

世界で活躍する資産家――その妻のポストが空いているのだと知れば、誰しも自分の身内で埋めたいと考えるだろう。

そうすれば、いざというときの強力なコネクションが得られるから。

彼は、仕事で新たな人脈を作る度に『素敵な女性がいるから会ってみてはくれないか?』なんて誘われ、無下に断ることもできず辟易しているのかもしれない。

「君にとってもメリットのある話だ。俺の立場なら、院瀬見家に圧力をかけられる。ちょっかいをかけてきたお嬢さんを追い払うこともできるし、君の家族を院瀬見家傘下の企業から引き抜いて、待遇のいい仕事を斡旋することだってできる」

鞠花もお金持ちのお嬢様だけれど、彼とは格が違う。

なにしろ彼は、長者番付に載ってしまうほどの資産家だ。彼が本気になれば鞠花はぐうの音もでない。

清良を守ることだって容易い。

「ワガママな院瀬見家のお嬢様に振り回されるくらいなら、俺に振り回されろ。悪いようにはしない」

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