カラダで結ばれた契約夫婦~敏腕社長の新妻は今夜も愛に溺れる~
眼差しに制圧され、言葉を失くす。横暴な態度の中にも言い知れぬ魅力があってクラクラする。

「妻という肩書きだけもらえれば、好きに生活してくれてかまわない。法律的に言えば、俺がこれから稼ぎ出す財産の半分は君に権利がある。豪遊してくれたってかまわない」

彼は苦笑しているが……冗談じゃない。

彼の稼ぎの半分だなんて、使おうと思っても使える額じゃない。清良はどちらかというと貧乏性だし、浪費して楽しむタイプの人間ではない。

彼の現実離れした提案は、とてもじゃないが恐ろしくて受け入れられない。ぶんぶんと首を横に振る。答えは当然ノーだ。

彼は鬱陶しそうに目を細める。

「……なるほど。金に惹かれないというのなら、もっとシンプルに行こうか」

どうやら方向性を変えることにしたらしい、人差し指で清良の顎を押し上げ、顔の距離を近づけた。

また何かの挑発かと警戒して彼を覗き込む。

男らしくて、猛々しくて、自分よりもずっと大人で魅惑的な男性。キリリと上がった口角からは、余裕と色気が滲み出ている。

ただ顔のパーツがいいだけではない、彼の作り出す表情はどれも気品と力強さがあって見惚れてしまう。

どうしてだろう? 目が離せなくなってしまうのは。

< 28 / 262 >

この作品をシェア

pagetop