カラダで結ばれた契約夫婦~敏腕社長の新妻は今夜も愛に溺れる~
「城……ケ崎……さん?」

「総司と呼んでくれてかまわない。そのほうが気持ちも盛り上がる」

ちゅ、とこめかみにキスをされ、静かな部屋に艶めいたリップ音が響く。

一応恋人のいた期間のある清良だけれど、キスまではしたことがなかった。

だからこれが、人生で初めての――。

「俺も清良と呼ばせてもらう。いい響きの名だな。清純そうな君にぴったりだ」

そう囁いた唇が、清良のものと重なった。

唇の先が絡まり合って、清良の心をかき乱す。

緩く、甘く、温かい。彼の感触を意識する度に、身体がぴくりと震えてしまう。

そんな怯え切った唇に、彼は舌先をツンと当てた。固く閉ざされたその扉を開けてくれと訴えかけるように。

無意識のうちに力が緩み、彼の舌が奥深くに侵入してくる。

未知の感触に驚いて「っんぅ……」思わず喉の奥を震わせた。

初めてであるはずなのに、自然と身体が彼を受け入れ綻んでいく。

それは、彼があまりにも魅力的だからか、あるいは女性を惑わすコツでも知っているのか。

甘美な世界にようこそ、目の前の秀麗な紳士にそんな悪めいた誘惑をされたようで、抗う術がわからない。

「思った通り、君は清純……そして、身体も従順だ」

男はそんな感想を漏らして口づけを深めていく。どうやら彼はキスで女性の性質を見ぬくことができるらしい。

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