カラダで結ばれた契約夫婦~敏腕社長の新妻は今夜も愛に溺れる~
「その城ケ崎さんって、年中海外に行って豪遊しているような人だろう? 天羽さんみたいな真面目な人が、そんな人と一緒になったところで幸せになれないよ。現地妻みたいにいいように遊ばれるのがオチなんじゃないのか?」

清良もその懸念はずっと頭にあった。

しかし、婚前契約書を作成することで、清良の権利は保障された。

この先、とんでもなくひどい状況にはならないんじゃないかな、と清良はポジティブに考えている。

なにより、もう後には戻れない状況だ。

「海外で豪遊しているわけではなく、お仕事をしているんです」

彼の名誉のためにひとつだけ訂正して、清良はふたりに背を向けた。

部屋を出ようとしたとき。脇の扉から「失礼致します」と使用人が顔を出した。

バトラーのようなスーツを身に纏った年配の男性だ。三人に向かって一礼し、完結に用件を述べる。

「城ケ崎様がお見えになりました。清良様をお迎えに上がったそうです」

「何ですって!?」

鞠花は声を荒げて、ギンと清良を睨みつけた。

だが、驚いているのは清良のほうだ。迎えに来るなんて話は聞いていなかったから。

三人で屋敷のエントランスホールに向かうと、そこには上等なスーツに身を包んだ紳士が立っていた。
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