カラダで結ばれた契約夫婦~敏腕社長の新妻は今夜も愛に溺れる~
通話を終えると、総司はキッチンのほうへとやってきた。

「すみません、何時に起こしていいのかわからなくて……」

「いや。君は悪くない。寝坊したのは俺だから……と……」

彼はキッチンに並んでいたサンドイッチを見て固まる。

その困惑した表情から、勝手に朝食を用意したことが迷惑でしかなかったと察した清良は、すかさず朝食を背中に隠して手を振った。

「いいんです! ついでに作っただけですから! 私、お昼に自分で食べますし」

彼は一瞬申し訳なさそうな顔をして「悪い。食べている時間がない」そう簡潔に謝ってリビングを出ていった。

サンドイッチを見下ろしながら、失敗したなぁと反省する。

彼は過剰にかまわれることが嫌いだ。仕事に集中するための契約夫婦なのに、こんなお節介を焼いてしまって。

今の彼の表情、トラウマになりそうだ。迷惑とも言えず、かといって喜ぶこともできず、何とも言えない気まずい顔をしていた。

二度とあんな顔をさせないようにしなければ。

サンドイッチのお皿にラップをかけ、冷蔵庫にしまおうとすると。

「清良」

顔を洗っていたのだろう、総司がタオルで顔を拭きながらひょっこりとリビングに顔を出した。
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