カラダで結ばれた契約夫婦~敏腕社長の新妻は今夜も愛に溺れる~
そのとき、総司の携帯端末が短く震えた。画面を確認したあと「迎えだ」そう呟いてリビングを出ていく。 

一応お見送りをしようと、清良もあとについていく。

とことこと追いかけてきた清良を見て、総司はなんとも言えない顔で肩を落とした。

困らせてしまった? ハッとして立ち止まると、彼は悩んだ末に清良の頭をクシュクシュと撫で始めた。

「そ、総司さん?」

「……アヒルの子みたいだ」

「ええっ……!?」

嫌がられているのかと思いきや、彼は口の端を緩めて笑いをかみ殺している様子。

頭を好き勝手かき混ぜられ、嬉しいような恥ずかしいような複雑な気分で彼を見上げる。

「ペース、乱れてるな。こんなに寝坊したのは初めてだ」

「……落ち着けませんでしたか?」

「いや、逆だろう」

玄関に辿り着いた彼は、くるりと清良へ向き直り、その顎を押し上げる。

「……落ち着きすぎた。新婚生活で浮かれているのかもしれない」

突然唇を奪われ、驚いた清良は目を瞬いた。

呆然としている間に総司は「行ってきます」と出ていってしまう。

ああ、もしかして、今のは行ってきますのキス?

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