カラダで結ばれた契約夫婦~敏腕社長の新妻は今夜も愛に溺れる~
「仕事を他人に任せる覚悟がおありなら、週休一日も可能です。一カ月も奥様をおひとりにして、心配になりませんか?」

冗談、と総司は鼻で笑う。なんのための契約結婚だと。

「今のままでかまわない」

迷いもなく答えた総司に、真鍋は無表情をさらに凍てつかせる。

「承知しました」

真鍋の返事を最後に、プライベートの話は終わりとばかりに会話を止める。

ふと、今になって膝の上にある風呂敷の存在を思い出し、中を開けた。

紙のランチボックスにラップで包まれたサンドイッチが四つ。チーズに玉子に生ハム、それからチキンにレタスにトマト。バジルの香りがふうっと漂ってきて、食欲が湧き上がる。

「そういえば、奥様から総司さんの好みを聞かれました。なるほど、お弁当に使う食材のことでしたか」

そういうことはもっと早く報告しろと胸の内で毒づきながら、総司はサンドイッチを口に運ぶ。

とても優しい味だった。

中身自体は、普段よくワインに合わせて食べているスモークチーズやチキン、生ハムと同じなのだが、サンドイッチに加工するだけでどうしてこうも美味しく感じられるのか。

「うまいな」

「そりゃあ、総司さんの好みに合わせて作った愛妻弁当ですからね」

愛情がこもっているとでも……?

思わず自嘲してしまう。

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