カラダで結ばれた契約夫婦~敏腕社長の新妻は今夜も愛に溺れる~
食べ終わるまで五分とかからなかった。最後のひと切れを口に入れる頃には、水分が欲しくなってきた。
そういえば、朝起きてから何も飲んでいなかったことを思い出す。
「飲み物、あるか?」
「コーヒーなら、そちらに」
運転中の真鍋に代わり、総司はクーラーボックスを開いた。
コーヒー。紅茶。コーヒー。苺牛乳……は真鍋の私物だろう。味の強いものばかりだ。
この優しいサンドイッチの味を強烈な香料で台無しにしたくない。
「水が飲みたい」
「……突然、そんなことをおっしゃられても。普段はお飲みにならないくせに」
仕方なく真鍋はコンビニの駐車場に車を停める。
五分のタイムロス。真鍋は急ぎミネラルウォーターを買いに走る。
そんな秘書の姿を他人事のように見つめながら、総司は助手席でぼんやりと臙脂色の風呂敷を眺めた。
桜の絵が描かれていて、なんとも渋い。が、不思議と彼女の印象とマッチしている。
なぜ彼女――清良を選んだのか。
直感を信じた結果だとしか言えない。
賢く、従順で、理解のある妻が早急に必要だったのは間違いない。
一歩遅れれば、母親が用意したどこぞの令嬢と結婚させられてしまうところだった。
そういえば、朝起きてから何も飲んでいなかったことを思い出す。
「飲み物、あるか?」
「コーヒーなら、そちらに」
運転中の真鍋に代わり、総司はクーラーボックスを開いた。
コーヒー。紅茶。コーヒー。苺牛乳……は真鍋の私物だろう。味の強いものばかりだ。
この優しいサンドイッチの味を強烈な香料で台無しにしたくない。
「水が飲みたい」
「……突然、そんなことをおっしゃられても。普段はお飲みにならないくせに」
仕方なく真鍋はコンビニの駐車場に車を停める。
五分のタイムロス。真鍋は急ぎミネラルウォーターを買いに走る。
そんな秘書の姿を他人事のように見つめながら、総司は助手席でぼんやりと臙脂色の風呂敷を眺めた。
桜の絵が描かれていて、なんとも渋い。が、不思議と彼女の印象とマッチしている。
なぜ彼女――清良を選んだのか。
直感を信じた結果だとしか言えない。
賢く、従順で、理解のある妻が早急に必要だったのは間違いない。
一歩遅れれば、母親が用意したどこぞの令嬢と結婚させられてしまうところだった。