カラダで結ばれた契約夫婦~敏腕社長の新妻は今夜も愛に溺れる~
だが、妻として迎え入れるからには幸福を保証してやらねば、人として、男としてアウトだ。

自由と金はあげられるとして、他に何を用意すれば彼女は満足してくれるだろう?

そうこうしている間に、真鍋が車に戻ってきた。

手にはミネラルウォーターのペットボトルを持って。

「水、買ってきました……よ……?」

真鍋は車に半身を潜り込ませながら、総司の手の中にあるコーヒーを見て凍り付く。

「ああ。悪い。飲み終わった」

「……喧嘩売ってます?」

沈着冷静な敏腕秘書も、さすがに口元を引きつらせて運転席に座る。

とりあえずミネラルウォーターをクーラーボックスへ突っ込み、再び空港へ向けて車を走らせた。

「真鍋。遠距離から女性を幸せにする方法は何だと思う?」

「は?」

漠然とした問いかけに、真鍋は眉をひそめる。が、すぐに新妻のことだと思い至り、小さく頷いた。

「……やはり、離れている間も想い続けていたという物的証拠ではないかと」

「つまり?」

「現地の高級ブランド品をお土産に贈るですとか」

「……それって効果あるのか?」

ブランド品を喜ぶような女性には見えないが。

まぁ、毎日毎日何かしらが届くとあれば、寂しさは紛れるかもしれない。

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