カラダで結ばれた契約夫婦~敏腕社長の新妻は今夜も愛に溺れる~
突然贈り物だなんて。物欲しそうに見えたのだろうか? ブランド品のひとつでも持ってこい!みたいな顔してた?

そんなつもりは全くなかったのだけれど。むしろ清良はブランド品が苦手だ。

(でも、このヘアクリップはすごく可愛い……)

アイボリーのクリップに、ゴールドのチェーンとビジューが絡み合っていて、上品で可愛らしい。このキラキラと輝くラインストーンは、まさか本物のダイヤだろうか……?

失くす可能性を考えると、怖くて外につけていけない。が、家の中でつけるというのもどうなのだろう、見せる相手もいないのに。余計に寂しさが募る。

(せっかくのプレゼントを手元で眠らせておくのももったいないし……)

意を決した清良は翌日、ヘアクリップを使って髪をセットし、もらったブランドバッグを手に会社へと向かった。



清良は大手家具メーカー『アサキ・ルーム』の総務部で働いている。

一部上場の家具販売店で、全国の主要都市にショールームを設置し、コンシェルジュによるコンサルティングセールスに力を入れている企業である。

安価な大量生産品や通信販売が売上を伸ばす中、昔ながらの高級志向を曲げることなく、質の良さで戦う数少ない家具ブランドのひとつ。

また、コントラクト事業――法人向けの施設のレイアウトやインテリアコーディネートなどの空間プロデュースも手掛けている。


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