カラダで結ばれた契約夫婦~敏腕社長の新妻は今夜も愛に溺れる~
総司がメディアに露出するのは、経済誌やニュース番組がほとんどであるが、稀に偶然番組を見た若い女性が一目惚れをしてファンレターを送ってきた、なんてこともあるという。

そもそも総司は、清良の私用に付き合えるほど暇ではない。

「……うちの主人は土日も勤務で、なかなか休みが合わないので……ここのところ、海外出張ばかりですし」

嘘は言っていない。

仲根は「えー、そうなのー?」とまだ腑に落ちない顔をしている。

これ以上こじれる前に、なんとか気を逸らそうと別の話題を探した。

「それより、コンプライアンス教材の更新、今日中にやらないとあとあと大変ですよ……?」

「あっ、いけなーい!」

仕事の話をねじ込んで、仲根の意識を別の方向へ持っていく。

仲根は四年先輩で業務知識は豊富だが、性格は大雑把だ。しっかりしているのは清良のほう。

スケジュール管理や気遣いの必要な細かい仕事は、清良が行うという暗黙の了解ができている。

気分屋な仲根は、基本的なところがスコンと抜けたりする。そんな彼女のフォローをするのも清良の役割だ。

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