chocolate of midsummer〜遅咲きのバレンタイン〜
「あのさ……」

アイスを互いに半分ほど食べ終えた頃、栄治があたしを見つめる。その顔は真っ赤で熱中症にかかってるんじゃないかとドキッとしてしまう。

「栄治、水分取りなよ。顔真っ赤で熱中症なんじゃーーー」

「お前のせいだよ、馬鹿」

あたしの言葉を遮り、栄治がうつむきながら言う。あたしの動きが止まった。栄治は耳まで赤くなっていて、熱中症じゃないとあたしの胸が別の感情で高鳴っていく。

「俺のこと嫌いなくせに、何でこんなことするんだよ。せっかく気持ちを捨てようとしていたのに……」

栄治がそう泣きそうな声で言ったため、あたしは「違う!!」と大声で否定した。確かに、あの時はそんな風に言ってしまった。でも、あれはーーー。

「ごめん。あたし、本当は栄治が好き。恋愛的な意味で好き。でも恥ずかしくてあんなことを言ってしまった。ずっと後悔して、バレンタインにチョコレート渡して仲直りしようって思ってたのに、気付いたら夏になっちゃってて……。本当にごめん」
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