【修正版】午前8時のシンデレラ
1、魔法が解けたそのあとは
知らなかった。
人の温もりでこんなに満たされるなんて。
お互いの肌が触れ合って、そして重なって熱くなる。
頭のてっぺんから足のつま先までキスされて、くすぐったいのに何故か安心する。
キスされる度、身体がとろける魔法をかけられているようだ。
ずっとこのままでいたい。
温もりを感じたまま眠りにつきたい。
夢なら覚めないで。
ずっと……。
優しく抱きしめられてその温もりに頬ずりした。
なんて心地いいのだろう。こんな感覚は初めてだ。
でも、悲しいことに現実は必ずやってくる。
頬に感じる慣れない感触に違和感を感じて目を開けた。
え?ええ〜!
声にならない悲鳴をあげる私。
目の前にはよく知っている男性の顔。
一気に目が覚めて、サーッと血の気が引いていくのが自分でもわかる。
ドッドッドッと心臓が激しく鼓動し、その音がやけに大きく聞こえた。
< 1 / 275 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop