【修正版】午前８時のシンデレラ
瑠偉さんとの噂はすでに社内に広まってるらしい。
私に食ってかかる彼女の手がガタガタ震えている。
かなりマズい。
どうしたら抑えられる？
私がまた何か言ったら、彼女は襲ってくるだろうか？
こんな状況なのに、どこか他人事のように冷静に見ている自分もいる。
私の近くにいる杏樹さんにチラッと目をやれば、私と西嶋さんのやり取りを見守りながら、スマホを操作していた。
警備員に連絡を入れたのだろうか？
それとも瑠偉さん？
「怖じ気づいたの？それでいいわ。あなたは瑠偉さんには不釣り合いだもの」　
西嶋さんの高笑いが、会場に響き渡る。
不釣り合いなのは嫌と言うほどわかってる。
でも仕方ないじゃない。
好きになって捕らわれてしまったのだから。
もう彼を諦めることなんて出来ない。
それに、今大事なのは目の前にある仕事だ。
壁時計にちらりと目をやる。
十一時四十二分。
このままではいけない。
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