【修正版】午前8時のシンデレラ
「西嶋さん、仕事してください」 
刺されるのを覚悟で彼女にゆっくり近づく。
「こ、来ないでよ」
西嶋さんが私に怯えながら後ずさる。
「フォークの使い方、ちゃんと習いませんでした?」 
笑顔で彼女に指摘する。
この言葉に西嶋さんが反応しないはずがない。
それは彼女のプライドを傷つける言葉。
「あなたなんかに言われたくないわ!」
キレた西嶋さんが私に向かってフォークを振り上げる。
私はとっさに両手で顔をかばって目をつぶった。
次に痛みが来るのを覚悟する。
だが、痛みが襲って来ない。
どうして?
おかしいと思ってそっと目を開けると、瑠偉さんが西嶋さんの腕を掴んでいた。
多分杏樹さんが呼んだのだろう。
「馬鹿なことはやめろ!」
彼は彼女にそう一喝して、フォークを取り上げる。
「こんな事をして俺の心が手に入ると思った?馬鹿じゃないのか」
身体が凍り付きそうな程とても冷たい声だった。
< 112 / 275 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop