【修正版】午前8時のシンデレラ
血を見てやっと状況を飲み込めた私は、ハンカチを取り出して彼に駆け寄ろうとした。
だが、瑠偉さんは目で私を制する。
「警備員さん、早く彼女を連れて行ってくれるかな?」
いつの間にか警備員さんが二名、私の背後にいた。
放心状態の西嶋さんを警備員さんに引き渡すと、瑠偉さんは私の方にツカツカと歩いてきて突然私を抱き締めた。
「怪我は?」
ここが会社ということも忘れ、瑠偉の背中に手を回す。
彼の温もりに心からホッとした。
「怪我してるのは瑠偉さんです。なんて無茶するんですか?」 
私は怒っているのに、彼は私の無事を確認できて安心したのか笑顔になった。
「無茶してるのは芽依でしょ。俺を殺す気?」
瑠偉さんが私の手を掴んで自分の胸に当てる。
「俺の心臓いくつあっても足りないんだけど」
そう言って笑う瑠偉さんの心臓はバクバク音を立てていた。
「嘘……」
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