【修正版】午前８時のシンデレラ

お弁当の話を振ったら、彼は私の反応をうかがうように聞いてきた。
「スギモトフーズって会社知ってますか？僕の父がそこの社長をしてて」
スギモトフーズといえば、最近はファミレスや会席料理のお店まで事業を展開して業績を伸ばしている有名企業。
「もちろん知ってるよ。そっか、そこの御曹司かあ。でもお陰で助かったよ」
育ちの良さそうな理由がわかった。
社内の女性社員がこの事を知ったら益々彼はモテるだろう。
そんな事を考えていたら、急に杉本くんが表情を変え、私の手を掴んだ。
「僕じゃ駄目ですか？」
彼の目は真剣だったけど、気づかない振りをした。
「杉本くん？何の冗談？」　
動揺を隠してわざとハハッと笑うが、彼はじっと私を見つめて話を続けた。
「今は一条商事で武者修行してますけど、いずれ父の跡を継ぎます。僕はお買い得だと思いますよ」
「意味分からないよ。私は玉の輿とか狙ってないもの」